観戦中によく見る反則:黄色い旗が投げられたら何が起きるか
NFL.jp 編集部読了 6分
中継で繰り返し出会う反則を、5・10・15ヤードという罰則の重さで整理します。ホールディング、パスインターフェアレンス、フォルススタート、オフサイドの読み分けが分かります。
第3ダウンで長いパスが通り、ようやく敵陣に入りました。そう見えた瞬間、画面の端から黄色い布が飛んできます。歓声は途中で止まり、審判のマイクが入り、ボールは元の位置より後ろに置き直されます。逆に、パスが通らなかったのに攻撃側にファーストダウンが与えられる場面もあります。
旗が出たあとの数十秒は、中継で最も置いていかれやすいところだと考えられます。ただ、反則の名前を全部覚える必要はありません。見るところは2つです。どちらのチームの反則かと、距離が動くのか、ダウンが動くのか。この2つで整理しておくと、旗が出た瞬間に「5ヤードで済む話か、攻撃権ごと動く話か」の見当が付きます。
罰則の重さは5・10・15ヤードに分かれている
反則の罰則は、距離で見ると大きく3段階です。5ヤード、10ヤード、15ヤード。ルールブックの巻末には、この重さごとに反則名を並べた一覧(Penalty Summary)が置かれていて、どの反則がどの層に入るかを引けるようになっています。
5ヤードはスナップ前の手続きに関わるもの、10ヤードはブロックや妨害のようにプレーの中身に関わるもの、15ヤードは危険な接触や非スポーツマン的な行為のように選手の安全と試合の秩序に関わるものです。重さの順番は、そのまま「試合にとって何が困るか」の順番になっています。
ただし距離は罰則の全部ではありません。反則によっては距離に加えて「自動ファーストダウン」が付き、攻撃権が数え直しになります。ここが観戦の分かれ目です。
スナップ前:フォルススタートとオフサイド
まずは回数の多い、プレーが始まる前の反則です。攻撃側が動いたのか、守備側が出たのかで名前が変わります。
フォルススタートは、いったん静止した攻撃側の選手が、スナップが始まったかのような動きをしてしまう反則です。罰則は5ヤードで、プレーそのものが始まりません。
反対に、ボールがプレーに入る瞬間、守備側の選手の体がニュートラルゾーンの中や向こう側にあればオフサイドです。こちらも5ヤードですが、フォルススタートと違ってプレーはそのまま続きます。
守備側がスナップ前にゾーンへ入って相手やボールに触れればエンクローチメント、接触がなくても近くの攻撃側選手がとっさに反応した場合などはニュートラルゾーンインフラクションです。罰則はどれも5ヤードです。
プレー中:ホールディングは攻守で罰則の形が違う
ここからはプレーが始まったあとの反則です。中継で最も名前を聞くのはホールディングでしょう。
攻撃側のホールディングは、ブロックする選手が手や腕を使って、守備側の進路や追走の角度を実質的に止めてしまう行為です。罰則は10ヤード。進めなかったどころか下がるので、影響が大きくなります。
守備側のホールディングは、ボールを持っていない相手をつかむ、引き倒すといった行為です。罰則は5ヤードと自動ファーストダウン。距離だけを比べれば攻撃側の10ヤードのほうが重いのですが、試合の流れを変えるのは守備側の5ヤードのほうだ、という場面がよくあります。
パスインターフェアレンス:捕らせない反則
ホールディングが「手で止める」反則なら、パスインターフェアレンス(PI)は「捕らせない」反則です。前方パスが空中にある間に、資格のある選手が捕る機会を著しく妨げると取られます。対象になるのはスクリメージラインの1ヤードより先です。
守備側のPIは、罰則の形が他と違います。あらかじめ決まった距離がなく、反則があった地点から攻撃側のファーストダウンになります。40ヤード先での反則なら、一度に40ヤード進みます。1回の判定で試合が動くのは、この形のためです。
攻撃側にもPIはあります。空中のボールへの妨害に加えて、パスが投げられる前に相手を押しのけるような行為も含まれ、罰則は前のスポットから10ヤードです。
どこからが「著しい」妨害なのかは審判の判断に委ねられる部分で、中継で意見が割れやすいのもここです。接触があったかどうかではなく、捕る機会が奪われたかどうかで見ると、判定の理屈をたどりやすくなります。
自動ファーストダウンが距離より重いことがある
「3rd & 12」の場面を思い浮かべてください。守備側がここで止めれば、攻撃側はパントを蹴るしかありません。ところが守備側ホールディングを取られると、距離は5ヤード縮むだけですが、ダウンが1stに戻ります。あと1回で攻撃権を取り上げられるはずだった守備側が、新しい4回に付き合わされることになります。
距離は「今の一連の攻撃の中」で起きる話で、自動ファーストダウンは「一連の攻撃そのものを作り直す」処分です。層が違うので、5ヤードと10ヤードを数字だけで比べても意味がありません。
だから旗が出たときは、実況が距離を言うより先に、こう考えると読みやすくなります。ダウンは戻るのか、戻らないのか。
次に観るときの見どころ
旗が出たら、再開後のダウン表示がどう変わったかを見てください。「2nd & 6」が「2nd & 11」になったのなら、右側の残り距離だけが動いた反則です。「1st & 10」に戻っていれば、攻撃権ごと動く反則だったということになります。
数字の左側と右側を分けて追うだけで、名前を知らない反則でも重さが分かります。ルール入門の学習パスでは、この前後でダウンと得点の基本も扱っています。