キッキングゲーム:キックオフ、パント、フェアキャッチ
NFL.jp 編集部読了 5分
4thダウンでなぜ相手にボールを渡すのかを陣地の考え方から説明し、キックオフの並び、タッチバックの再開地点、フェアキャッチの合図、オンサイドキックまでを図解つきで整理します。
4thダウン。攻撃側にはまだ1回、攻める権利が残っています。それなのにチームは蹴る隊形に入れ替わり、ボールを相手陣の奥へ蹴り込んで、攻撃権をあっさり手放します。初めて観ると、ここがいちばん不可解なところではないでしょうか。
このプレーは、あきらめではなく交換です。キッキングゲームは点を取る手段というより、攻撃権と陣地を取り引きする手段です。その見方に切り替えると、キックオフの妙な並びも、手を挙げて捕るだけのプレーも、意味が通ります。
4thダウンで蹴るのは、陣地を買うため
4回目のダウンで届かなければ、ボールはその場で相手のものになります。自陣30ヤードで失敗すれば、相手は30ヤード進むだけで得点圏に入ってしまいます。
そこで、まだ攻撃権が残っているうちに蹴ります。パントを蹴るパンターの仕事は、相手の攻撃開始地点をできるだけ自陣から遠ざけることです。攻撃権を1回分渡す代わりに、40ヤード前後の陣地を買い戻す取り引きだと考えると分かりやすくなります。敵陣に入っていれば、フィールドゴール(FG)で3点を取りに行く選択肢も加わります。
パントはスクリメージライン上か、その後方から蹴らなければなりません。ラインを越えてから蹴ると罰則を受けます。蹴ったボールがそのままエンドゾーンでデッドになればタッチバックで、相手は自陣20ヤードから攻撃を始めます。パントが伸びすぎても得にならないのは、この20ヤードが下限になるためです。
キックオフ:蹴る場所と、10人が並ぶ場所は違う
キックオフは、各ハーフの始まり、トライの後、FG成功の後にボールをプレーへ戻す方法です。ところが並び方は、ほかのプレーとまったく似ていません。
蹴るキッカーは自陣35ヤードに立ちます。ところが同じチームの残り10人は、そこから25ヤードも前、相手陣の40ヤードに並びます。レシーブ側は自陣35ヤードです。つまり、キッカーひとりが遠く後ろに残り、残りの選手はわずか5ヤードの距離で向かい合っています。
ルールブックは、この並びの基準になる制限線、レシーブ側が並ぶセットアップゾーン、ボールが落ちるべきランディングゾーンを定めています。並ぶ位置が細かく決められているため、キックオフは全力疾走の衝突ではなく、限られた区域の中での配置の勝負になっています。
タッチバックの地点は、ボールが落ちた場所で変わる
キックオフのタッチバックには2つの再開地点があります。自陣20ヤードと、自陣35ヤードです。どちらになるかは、蹴られたボールがどこに着地したかで決まります。
同じ「蹴り込んで終わり」に見えても、再開地点が15ヤード違えば、その後の攻撃の設計が変わります。蹴る側がどこを狙うかを考えているのは、この差があるためです。エンドゾーンへ蹴り込めば安全、とは言い切れません。
フェアキャッチ:手を挙げると何が起きるか
パントが上がったとき、待っている選手が片腕をまっすぐ上げて左右に振ることがあります。これがフェアキャッチの合図です。腕はヘルメットの上に完全に伸ばす必要があり、それ以外の挙げ方は無効シグナルとして5ヤードの罰則になります。
合図を出した選手は、相手に妨げられずに捕球できます。その代わり、捕った後は走りません。捕球地点から自分たちの攻撃が始まります。
ここには理屈があります。落下地点には、走り込んできた相手が同時に到達します。捕ろうとしている選手を守るために、キックを捕る機会そのものが保護されているのです。リターンを狙って無理に走るより、確実にボールを確保するほうが得だと判断したとき、合図が上がります。
オンサイドキックは、申告してから蹴る
キックオフには、相手に渡さず自分たちでボールを確保しようとする蹴り方もあります。オンサイドキックです。
現在のルールでは、これを行うチームは主審に申告します。奇襲としては使えないので、レシーブ側はオンサイドキックが来ると分かった状態で守りに就きます。それでも点差を追うチームにとっては、時計を止められない終盤に残された数少ない手段だと考えられます。
次に観るときの見どころ
パントが蹴られたら、飛距離ではなく、相手の次の攻撃が何ヤード地点から始まったかを見てください。パンターの評価はそこで決まります。
キックオフでは、蹴った瞬間ではなく、その手前の並びを見ると発見があります。両チームがわずか5ヤードの距離で向かい合う姿が、いまのキックオフの形です。ルール入門の学習パスでは、この後に延長戦とプレーオフの仕組みを扱います。